アウトソール、インソールの変遷について

今日は靴のお話ではなく、ソール(インソール、アウトソール)のお話です。笑

皆さんはインソールやアウトソールのオールデンロゴのデザインやインソールの素材などが年代によって異なることをご存知ですか?といっても現行の仕様になって既に十数年が経つようですので、ご存知ないのが普通かもしれません。私も明確にどの年代から、とは言い切れないのが歯がゆいところですが、ある程度の特定ができましたのでご紹介いたします。


1. インソール(ヒールパッド)

靴を履く時にチラリと見える、あの金色のロゴのある部分です。履きこむと金字が消えて黒ずんで来ますので、古いものはなかなか綺麗な状態で残っていないことが多いですね。

左は2016年にカーメルから購入したAC-1のインソールです。右は1997年のキャップトゥチャッカのインソールです。どちらも金色の刻印となっていますが、まず明確な違いは、現行のものは、王冠マークの左右にある文字が、「Est./1884」となっているのに対して(王冠の左に創立を意味する、”Est.”の文字、右側にオールデンの創立年度を意味する”1884”)、1997年のものは「SINCE/1884」となっており、王冠の左には「〜年から」を意味する”SINCE”の文字が刻印されています。

上の画像は1997年のインソールを拡大したもの、下の画像は2016年のインソールを拡大したものです。古いものはまさに刻印と呼べるほど、深く刻印が打ち込まれていることがわかります。現行のものは、どちらかというとスタンプです。またこのインソールの革の素材(質感)も異なります。古いものはプラスチックのように硬い(見た感じです。触ると柔らかい)、肌色をした素材が使用されているのに対し、現行のものは、茶色をした柔らかい素材が使用されています。また、古いものは毛穴らしきものが見えないのに対し、現行は革表面の毛穴がはっきりと確認できます。

左の画像は2000年製ビギン別注モデル(umanoketsuさん、ありがとうございます)のものですが、1997年製のものと同じ、肌色で、硬い感じの素材に、「SINCE」の刻印が確認できます。一方、右の画像は2001年製のAF1(Shogoさん、ありがとうございます)のものですが、この画像を見ると刻印は「SINCE」のままですが、素材は現行と同じ茶色の毛穴のある素材に変わっているようです。刻印はどちらも深い刻印ではなく、スタンプのような刻印に変わっているようですね。インソールの素材変更は2000~2001年に行われたと思われますが、私が以前持っていた2000年製チャッカは確か右のタイプのインソールでしたので、恐らくインソールの素材変更は2000年だと思われます。また刻印が「SINCE」から「Est.」に変更されて現行と同じになるのは2003年頃の個体から見られるようになります。

2017/03/30注記:通常は上記の通りですが、ごく稀に「Est.」刻印のものが古いロットに見られることがわかりました(下記画像参照)。ソール刻印から1996年のもので間違いないと思いますが、インソールのヒールパッドの素材は、肌色のツルッとした素材であるにも関わらず、刻印が「Est.」になっています。刻印も深めのスタンプでない当時のものと思われますので、いくつか例外があるようです。)


2. アウトソール

一方で、製造刻印はご存知の通り、10年単位で更新されますので、「1」始まりの製造刻印の場合、果たして2001年なのか、2011年なのか、判別することができません。ところが、オールデンのアウトソールは実は2002年頃までは古いデザインの刻印が使われていて、靴裏を見ることでこれを特定することができます。(もちろんインソールからも判別できますが。笑)

画像左は再び1997年製チャッカのものですが、「GENUINE SHELL CORDOVAN」と太めの濃い色の刻印が押されてあるのに対し、画像右のAC-1の刻印は「HORWEEN GENUINE SHELL CORDOVAN」となっていて、刻印も細字でどこか洒落たものに変更されています。さらに、ヒール近くのオールデン刻印を見ると、古い時代のものは刻印自体が大きく、現行のものは小ぶりなものに変更されています。ちなみに、古い時代の刻印の方が、深くしっかりと押されているのに対し、現行の方が浅く、王冠自体かすれた状態になっていることが多いようです。

またこちらは2002年製AF2(マシューさん、ありがとうございます)のものですが、この時代もまだアウトソールはしっかりと古いデザインのままであることがわかります。

一方、こちらはAlden Styleさんの1994年製アバディーンモンクストラップの画像ですが(Alden Styleさん、ありがとうございます!)この時代はインソール、アウトソール共に1997年頃と同じですが、アウトソールにあるオールデン刻印の下にあるはずの「MADE IN U.S.A.」の文字がないことがわかります。(因みにこれは現行になると「Made in USA」に変わります。)


厳密な年月の特定にまでは至らない部分はありますが、これらによりおおよそ次のような感じで刻印やそのデザイン等が変遷していることがわかります。(スマホの場合は、表をクリックして読んで下さい。)

そもそも20年近く経ってまだ新品の状態を保ち、ソール交換等されることもなく保存されているもの自体少ないと思われますので、中々古いものを見る機会は少ないと思いますが、参考になりましたら幸いです。


3. 番外編

みなさんお馴染みのグリーンボックスですが、古いものを見つけた時、画像のように色あせた状態で手に入れられたご経験はありませんか?こちらの色あせた、歴史を感じさせるグリーンボックスは、Alden Styleさんの1994年製アバディーンモンクストラップのものですが、当時からこのような薄緑だったという情報があります。

こちらは私の1998年製AF1のグリーンボックス(右)と2016年製AC-1(左)のグリーンボックスですが、見た感じほぼ同じ濃い色のグリーンボックスに見えます。

蓋の裏などを見ても、全体的に変色がありませんので、ごく若干の色あせはあるかもしれませんが、ほぼ同じ色ということが言えます。一方、蓋裏を比較すると、それぞれで元の紙質が違うようですので、これにより若干の色合いの変化、色あせのしやすさなどはあるのかもしれませんね。


以上ですが、この内容がビンテージオールデンをコレクションする楽しみの一助となれば幸いです。

Alden of Tuck

aot.aldenstyleforum@gmail.com

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