コードバンのザラつきについて

「俺のコードバンは何かつま先がザラザラしてるな。。。」と思ってがっかりした記憶ありませんか?例えばロングウィングなどでは、複数のパーツを組み合わせて一足作る構造になっているため、ボディ部分はツルツル、ツヤツヤのいわゆるコードバンらしい艶のある革なのに、つま先部分はコードバンとは似ても似つかないようなザラザラした革が使われている。。。というようなことが結構良くあります。

実はコードバンというのは銀面と呼ばれる革の表側部分(馬の毛が生えている表皮部分)ではなく、裏側というか、内部のごく緻密な組織の部分を加工して得られる部位であり、馬のお尻の革といっても、コードバンとして使われる部分はごく一部です。

こちらの画像をごらんください。これはホーウィンでコードバン部分を内部から削り出している作業の画像ですが、赤い⇨で示した部分に、こげ茶のシミのような線が弧を描くように走っているのがわかりますか?これは濡れてそのようなシミが出てしまったわけではなく、そこから右側部分が緻密なコードバン層、左側部分がコードバンではない粗い組織のただのお尻の革になっていて、その境目に現れたシミなんです。

これはホーウィンでお土産としてもらってきたスクラップになったウィスキーの革なんですが、右側部分がツルツル、ツヤツヤしているのに対し、左側の切れ端近くの部分は、ザラザラとひび割れているように見えるのがわかりますか?

こういう感じで折り曲げてみると、組織の緻密なコードバン部分は相変わらずツルツル、ツヤツヤなのに対し、コードバン層と粗い組織の境目あたりの革は、ザラザラとひび割れたように見えるのがわかると思います。ちょうどこのあたりが、先ほどシミになっているように見えた部分で、コードバン層との境目にあたる部分なんです。

ホーウィンのニックはこのようにコードバンを折り曲げて、キュッキュッと指でしごくようにして革の滑らかさを確かめていました。緻密なコードバンはこのように折り曲げても組織が非常に細かいので、滑らかさを失わないんですね。

それで冒頭の話に戻りますが、僕も当初は「これはザラザラしたコードバンだ、失敗した。。。」とがっかりしていましたが、どうもつま先やヒールにはこの手のザラザラしたコードバンが使われていることが多いことが経験上分かってきました。これは推定ですが、おそらくオールデンでは、履いていてどこかにぶつけたりして傷の付きやすいつま先や、ヒール部分にあえてこのザラザラしたコードバンを使っているのではないでしょうか?ただでさえ傷の付きやすいコードバンですから、ツルツルの革をつま先に使っていると傷ばかりが目立ってしまいます。それであえてこのザラザラしたコードバンをつま先やヒールに使うことで、履いてくれる人が気にしなくて済むように考えているのではないかと思います。

いずれオールデンを訪問する機会がありましたら是非聞いてみたいですね。笑

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